6月の漢詩

2018年6月27日

 

今日は、杜牧(803-852)が齊安郡(黄州)の刺史であったときに詠んだ詩を勉強。杜牧については、昨年4月と11月にそれぞれ「清明」と「秋夕」という詩を勉強している。

 

 

簡体字

齐安郡后池绝句

Qí'ān jùn hòu chí juégōu

         唐・杜牧  Táng・Dù Mù

菱透浮萍绿锦池,

Líng tòu fú píng lǜ jǐn chí,

莺千啭弄蔷薇。

xià yīng qiān zhuàn nòng qiángwēi.

尽日无人看微雨,

Jǐnrì wú rén kàn wēi yǔ,

鸳鸯相对浴红衣。

yuānyāng xiāngduì yù hóng yī.

 

 

繁体字

齊安郡後池絶句

         唐・杜牧

菱透浮萍綠錦池,

夏鶯千囀弄薔薇。

盡日無人看微雨,

鴛鴦相對浴紅衣。

 

 

<訳:勝手に意訳>

菱(ひし)が、浮き草よりも表面に出てきて、池のなかに錦のようなあでやかな緑をかもしだしている、

(繁殖期を過ぎてしまった)夏のウグイスがさえずり、バラとたわむれる。

一日中、人が来ることもなく、そぼ降る雨を見つめている、

おしどりが向かい合って、赤いころもに水浴びをさせている。

 

 

杜牧は、会昌二年の春(杜牧は四十歳頃)から四年の秋まで、黄州の刺史として赴任していた。齐安郡と黄州とは、同じ場所で、名前が何度か変わっている。黄州は、現在の湖北省の黄岡市(武漢の東)、長江の北岸にある。郡亭の後庭にある池について詠っている。「亭」は、「小さな建物」を意味するのでしょうから、郡亭は、官舎のような建物かな?

 

 

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 菱     http://mirusiru.jp/nature/flower/hishi(左)   http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/a7/5d66f709d8a317a3cf44a4cce779162e.jpg(右)

 

 

「菱」は、水生植物。コトバンクhttps://kotobank.jp/word/-609790)によれば、「ヒシ科の水生の一年草。池や沼に生え、茎は細長く、泥水中を伸びる。葉は菱状三角形で、葉柄の一部にふくらみがあり、四方に出て水面に浮かぶ。夏、葉の間から短い花柄を伸ばし、水上に白い4弁花を開く。秋にとげのある固い実がなり、果肉は白く、食用。」とある。

 

「尽日 jǐnrì」は、「終日」「一日中」のこと。「终日 hōngrì」「一整天 yì zhěng tiān」「整一天 zhěng yìtiān」も、同じ意味。

 

今回の詩には、結構難しそうな漢字が多い。パソコンでは、日本語に似ている簡体字は日本語の文字が出てきてしまって、表示できないものもある。例えば、「微雨 wēiyǔ」の「微 wēi」という字は、日本の常用漢字繁体字は同じであるが、簡体字は、中央の山の下に横棒がはいり、さらにその下は「兀」ではなく、「几」のような形になる。

 

鸳鸯 yuānyāng」は、"yuānyang"と後ろを軽声で発音するのが普通であろうとのことです。辞書には、軽声で発音するとも書かれています。「 yuān」がオスのオシドリ yāng」がメスのオシドリを意味するそうだ。

 

なんでもない池の風景・様子を詠っているのですが、ゆったりとした時間を感じます。一日中そとをながめて過ごしている様子から、地方では暇であったのだろうと思えます。菱の葉が池一杯に拡がっている様子は、上の写真のような眺めだったのでしょうか。バラが咲いて、オシドリの赤い色(オレンジ色?)が緑のなかに映えている様子が伺えそうです。

 

 

詩を中国語で朗読しているときに、先生が次の言葉を書かれました。

「趁Chènrèdǎtiě」「鉄は熱いうちに打て」

今日は、駐車場の車の移動などで、勉強が中断しそうになったりしたから、はやく進めましょうと言う意味で言われたのかな?

「趁 chèn」は、介詞(前置詞)で、「~を利用して、~に乗じて、~のうちに」の意味。