土浦中国語 四月の漢詩

2018年4月25日

 

土浦市一中公民館、水曜日の10~12時。

月末(第4週)は、漢詩の勉強。

 

今日は、韦应物(Wéiyìngwù 韋応物、737〜804年)の七言絶句「滁州西」でした。韦应物は、陝西省西安市出身の中唐の詩人。玄宗に仕えたが、安史の乱の後、職をうしなっている。その後、地方官を勤めたりした。滁州(安徽省)刺史や蘇州(州)刺史になっている。善政を行ったと言われている。

 

先生によれば、自然を詠うことの巧い詩人で、田園詩人の陶淵明の後継とも言われているそうだ。また、ネットでは、「孟浩然や王維を受け継ぐとされ、柳宗元も一括して”王孟韋柳”と並称される。」と書かれている。

 

滁州(Chúzhōu)は安徽省Ānhuī shěng)にあり、南京に近い。江蘇省Jiāngsū shěng)の徐州(Xúzhōu)とは、違う場所です。

 

 

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               https://zhidao.baidu.com/question/565317945778960764.html

 

滁州西涧        韦应物

Chúzhōu xī jiàn   Wéiyìngwù

 

独怜幽草涧边生,

Dú lián yōu cǎo jiàn biān shēng,

上有黄鹂深树鸣。

Shàng yǒu huánglí shēn shù míng.

春潮带雨晚来急,

Chūn cháo dài yǔ wǎn lái jí,

野渡无人舟自横。

Yědù wú rén zhōu zì héng.

 

<中国語での解説>

滁州:在今安徽滁州以西。

独怜:唯独喜欢。

树:枝叶茂密的树。

野渡:郊野的渡口。

横:指随意飘浮。

https://baike.baidu.com/item/滁州西涧 より

 

 

<訳>

(わたしは)奥深い谷間の草が渓流の岸辺に生じているのをいつくしみ、

上の方ではウグイスが木の茂みで鳴いているのを聞くのを愛おしく思う。

春の日のうしおは、雨を帯びて、夕暮れになり流れが急になってきた。

いなかの渡し場には、だれもいなくて、小さい舟が横たわっている。

http://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/shi3_07/rs229.htm 参照(少し変えました)

 

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               http://www.baike.com/wiki/《滁州西涧》

 

 

この詩は、「韦应物任滁州刺史时所作。」とあるので、彼が滁州の地方長官の時の作(781年と言われている)です。自然の描写をしている詩で、あまり感情が表に出ていないし、社会の批評なども入ってはいなさそうな詩に思えます。

 

起句の「怜 lián」は、「哀れむ」と言う意味もあるが、ここでは、「いつくしむ、かわいがる、愛する」という意味。

 

承句の「黄」は、辞書では「コウライウグイス」とある。ウグイスは、中国語で「 yīng」である。先生は、「黄」も、詩などでは見かけると言われました。

 

また、「鳴く」と言う意味で、「míng」が使われている。「啼 」も「鳴く」であり、ともに鳥や獣が鳴くときに使われると辞書にはある。「啼 」は、人にも使われ、大型動物などに使われるような雰囲気があるが、どう違うのだろうか。昆虫は、「míng」だと思うけど?「啼 」は「míng」よりも、大きな鳴き声のような感じがするということであった。

 

結句に、「横」と書かれている。教室では、この意味についてすこし議論が出たが、舟が水面や陸地で横になっているのではなく、水面にぷかぷか浮いている(係留されている)ことを表現しているとのことであった。上記の<中国語での解説>にある「指随意飘浮。」や、上の舟が描かれている絵などでも、そのように解釈されているということであろう。

 

詩を朗読(朗读 lǎngdú)するのは、毎回難しいと感じるが、もっと声に出して詠むのが必要なのかもね。